ニュースを聞いてとても切ない気持ちになりました。

介護殺人のニュースを聞いてとても切ない気持ちになりました。 92歳の母親の介護をしていた61歳息子は介護により仕事を離れた結果生活に困窮し、持ち家を“リースバックで不動産業者に売却”しました。 リースバックとは住んでいる家を売却しても賃料を支払うことで住み続けられるシステムです。この売却方法により引越しせず賃借人として家賃を払うことで住み続けましたが売却資金も尽きてこの度の事件に至ったのです。 条件さえ合えば都合の良いシステムのようですが、リースバックは慎重考える必要があると私は思います。

 この方は2,200万円で自宅を売却して売却代金である2,200万円の現金を得たのですが、賃借人として月額賃料175,000円の支払いが始まりました。175,000円という賃料が適切か否かは場所や広さも不明なので判断できませんが年間支払い額は210万円になります。今まで支払う必要のなかった家賃だけで約10年で売却金が底をついてしまいます。更にこの親子は生活費に困窮しているので生活費もこの売却金から支払われるわけですから実際は生活を切りつめても数年でお金が尽きることは容易に考えられます。 息子の方に借金があり返済にあてたことも影響しているかもしれませんが、自分たちが数年で“行き場のない結果”に陥る事をちゃんと理解していたのかな?と思いました。 病気の母親と引越しするという選択肢は息子にはなかったのかもしれません、本人たちにしかわからない事情もあったかもしれませんので勝手なことは言えません。

でも私はこう考えてしまいます。

 

売却金額は適切だったのか?

175,000円の賃料設定は適切だったのか?

先を見据えた説明や提案はされていたのか?

 

私たち不動産業者は常に持てる知識を総動員してその方にとって最善の選択肢を提案することがとても大事だと思います。

仮にその選択肢に自分たちの利益につながらない方法があったとしてもです。

 

故人のご冥福をお祈りします